チョコレート嚢胞以外の良性卵巣腫瘍の摘出が、卵巣予備能にどのような影響を与えるかを調べた論文

チョコレート嚢胞以外の良性卵巣嚢腫を摘出したところ、血中AMHレベルは有意に低下しました。このような結果が実際に卵巣予備能の低下を反映したものか否かという点について検討してみる必要があります。

The impact of excision of benign nonendometriotic ovarian cysts on ovarian reserve:a systematic review
Ahmed A.Mohamed,Tarek K.Al-Hussaini,Mohamed M.Fathalla,Tarek T.El Shamy,Ibrahim I.Abdelaal,Saad A.Amer
Am J Obstet Gynecol.2016 Aug;215(2):169-176
【文献番号】r02200 (低卵巣反応、卵巣予備能、加齢、予測因子、AMH)

良性の非チョコレート嚢胞である卵巣腫瘍はよく認められ、しばしば摘出が試みられる。しかし、そのような手術が卵巣予備能にネガティブな影響を与えるのではないかと危惧されている。そこで、チョコレート嚢胞以外の良性卵巣腫瘍の摘出が卵巣予備能にどのような影響を与えるかを調べるために、血中AMHレベルを指標にし、評価した研究をデータベースから収集しメタアナリシスを試みた。

良性卵巣嚢腫の摘出後に血中のAMHの測定を試み、その変化を調べた前方視的および後方視的研究、さらに無作為対照試験を対象に分析した。25件の研究が認められたが、10件の分析が対象となった。367名の患者のデータをまとめ分析したところ、卵巣嚢腫摘出後に血中AMHレベルは有意に低下し、加重平均差は-1.14ng/mlであった。

3か月にわたる追跡調査を行った研究、Gen II anti-Mullerian hormone assayを用いた研究およびIOT anti-Mullerian hormone assayを用いた研究を含めたサブグループを対象としたところ、ばらつきは改善されたが術後に有意な血中AMHレベルの低下が認められ、加重平均差はそれぞれ-1.44、-0.88および-1.56という結果であった。バイアスのリスクが低い研究を含め、交絡因子が認められた研究を除外した感度分析においても術後に血中AMHレベルの有意な低下が認められた。