過体重や肥満男性は、精液量や精液濃度、総精子数において少ない傾向があることを示した論文
過体重や肥満男性は、そうでない男性と比較して精液量、精液濃度、総精子数が少ない傾向にあり、妊娠を考える男性はBMIを適正に保つ必要があります。
過体重や肥満は精液量の減少、精子濃度の低下および総精子数の減少と相関する。
The relationship between BMI and waist circumference on semen guality:data from the LIFE study
Michael L.Eisenberg,Sungduk Kim,Zhen Chen,Rajeshwari Sundaram,Enrique F.Schisterman,and Germaine M.Buck Louis
Hum Reprod.2014 Feb;29(2):193-200
BMIの上昇は精液所見の異常と相関すると報告されている。不妊男性において腹囲の上昇も精液所見の異常と相関すると考えられている。そこで、身体の大きさ、身体活動および精液所見などの因子が妊娠を望んでいる不妊カップルの男性パートナーにおいてどのような関係にあるか調査した。
「不妊と環境に関する縦断面的研究」からデータを収集した。このLIFE Studyと呼ばれる研究は2005~2009年においてテキサス地方とミシガン地方の2か所において妊娠を望んでいる501組のカップルを対象とした前方視的コホート研究である。環境やライフスタイルなどを考慮してミシガン州の4か所のカウンティとテキサスの12か所のカウンティから参加者を募った。
背景となる要因、健康状態、生殖に関わる既往歴などを確認するためにインタビューを行い、その後身体測定を行った。BMIから25.0未満のものを低体重/正常体重群、25.0~29.9を過体重群、30.0~34.9をクラス1の肥満群、35以上をクラス2の肥満群とした。468名の男性からデータが収集されたが、平均年齢は31.8歳、平均BMIは29.8、平均ウエストは100.8cmという結果であった。対象者のうちの大部分(82%)は過体重あるいは肥満で58%のものの身体活動は1週間に1度未満であった。
これらのコホートの男性の精子濃度の中央値は6,020万/mlで、8.6%のもの1,500万/mlであった。射出精液量はBMIの上昇およびウエストの上昇に伴って有意な低下が認められた。総精子数はウエストと直線的な負の相関が認められた。BMIやウエストから判断した身体の大きさと精子濃度、精子運動率、生存率、形態およびDNA fragmentation indexとの間には有意な相関は認められなかった。異常精液量、異常精子濃度および異常な総精子数と判定された男性の割合は身体の大きさの上昇に伴って上昇した。身体活動と精液所見との間の相関は認められなかった。