35歳以上の女性において、乳製品摂取量がARTでの生児出産率に影響するという論文
IVFを受けた女性を対象とし調査した結果、35歳以上の女性では乳製品摂取量が多い人が少ない人よりARTでの生児出産率が有意に高くなりました。それは、35歳未満ではあまり変わりませんでした。
この結果より、アレルギーがなければ35歳以上のARTを考えている女性では乳製品を摂取するよう心がけた方がよいかもしれません。
35歳以上の女性においては総乳製品の摂取量と生児出産率との間には正の相関が認められた。
Diary intake in relation to in vitro fertilization outcomes among women from a fertility clinic
M.C.Afeiche,Y.-H.Chiu,A.J.Gaskins,P.L.Williams,I.Souter,D.L.Wright,R.Hauser,and J.E.Chavarro for the EARTH Study team
Hum Reprod.2016 Mar;31(3):563-571
以前の研究において、乳製品が不妊のリスクと相関すると報告されている。しかし、不妊治療の結果とどのような関係があるかという点についてはよくわかっていない。
そこで不妊治療を受けた女性において乳製品の消費が生児出産と相関するか否かという点について検討した。2007~2013年においてIVFを受けた232名の女性を対象に調査を行った。
有用性が確認されている食物摂取にかかわる質問票を用いて、ARTの施行前に食事の状態を調べた。評価結果の項目には子宮内膜の厚さ、エストラジオールレベル、採卵数などを含む調節卵巣刺激の結果、受精率、胚の質および着床率、臨床的妊娠率および生児出産率を含む臨床結果などを含めた。
女性に実施された複数回のARTを考慮し、一般化線形混合モデルを用いて年齢、摂取カロリー、BMI、人種、喫煙状態、不妊原因の診断名、プロトコールのタイプ、アルコール摂取および食事のパターンなどの背景となる要因で補正し分析した。
乳製品の摂取量が1日3回超の最上位四分位と1日1.34回未満の最下位の四分位との間で年齢およびカロリーで補正した生児出産率の差異は21%で、統計的有意差が認められた。しかし、その他の背景となる要因で補正したところ、有意差は35歳以上の女性においてのみ認められた。
35歳以上の女性において総乳製品の摂取量の四分位が上昇した場合、多変量補正生児出産率はそれぞれ23%、39%、29%、55%と有意上昇傾向が認められた。35歳未満の女性においては46~54%に分布し、統計的有意差は得られなかった。乳製品の摂取量とその他の臨床結果との間には有意な相関は認められなかった。