同一月経周期に2回刺激採卵する方法が、低反応性の不妊症患者でも有効である可能性を示した論文について

ARTで同一月経周期に2回刺激採卵する方法(Duo Stim)は、担がん患者になど急を要する採卵で採卵数をなるべく増やしたいときに使われている方法ですが、低反応性の不妊症患者でも有効である可能性があります。
今回の研究で同一周期に2度刺激採卵した場合、累積で約7割の周期で正倍数性の胚が得られる結果となりました。このことは低反応性の不妊女性にDuo Stimは有効な治療法となる可能性があることを示唆しています。

卵巣予備能が低下した女性において同一の周期における卵胞期と黄体期から調節卵巣刺激を開始したとしても同様な数の胚盤胞が得られた。黄体期に刺激を試みることによって移植可能な胚盤胞を得ることができる確率が高まり、結果として月経周期あたりの胚移植を受けることができる患者の数を増加させることができる。

Follicular versus luteal phase ovarian stimulation during the same menstrual cycle (Duo Stim) in a reduces ovarian reserve population results in a similar euploid blastocyst formation rare:new insight in ovarian reserve exploitation
Filippo Maria Ubaldi,Antonio Capalbo,Alberto Vaiarelli,Danilo Cimadomo,Silvia Colamaria,Carlo Alviggi,Elisabetta Trabucco,Roberta Venturella,Gabor Vajta,Laura Rienzi
Fertil Steril.2016Jun;105(6):1488-1495.el

卵巣の反応性が低下した女性においてPGDを行う際に同一の周期において卵胞期と黄体期で調節卵巣刺激を試み、正倍数性の胚盤胞の発現率を比較した。卵巣予備能の低下した43名の患者を対象に前方視的非劣性観察研究を行った。
調節卵巣刺激はday2および初回の採卵後5日目から開始し、GnRH antagonist protocolに従いFSHおよびLHによる卵巣刺激を試みた。いずれの群においてもGnRH agonistがトリガーに用いられた。栄養外肺葉を採取してPCRを利用したPGDを試みた。その後の自然周期において単一の正倍数性の胚盤胞の移植を試みた。

一次評価項目はMII期卵あたりの正倍数性の胚盤胞形成率とした。二次評価項目は卵丘-卵コンプレックスの数、MII期卵および胚盤胞の数とした。AMHレベルは1.5ng/ml未満で、胞状卵胞数は6個未満、以前の治療周期において採卵数は5個未満であった。

それぞれの群において採卵数は5.1個と5.7個、MII期卵は3.4個と4.1個、刺激周期あたりのバイオプシーを試みた胚盤胞の数は1.2個と1.4個でいずれも統計的差異は認められなかった。バイオプシーを試みた胚盤胞あたりの正倍数性の胚の発現率はそれぞれ46.9%と44.8%、ICSIを試みたMII期卵あたりの正倍数性の胚盤胞の割合はそれぞれ16.2%と15.0%で2群間で差異は認められなかった。