性交痛と抑うつ症状は子宮内膜症を有する女性の性機能障害と相関したが、男性パートナーにおける性機能には影響はもたらさなかった。

子宮内膜症を有する女性は性交痛、性機能の低下、QOLの低下などに遭遇することがある。定性的研究によれば、子宮内膜症を有する女性のパートナーは、子宮内膜症はQOLにも影響を及ぼし人間関係にも苦痛を生み出すものであると考えているという調査結果が得られている。そこで、女性とその男性パートナーにおいて性機能と相関する身体的、心理的な症状に関して調査を行った。子宮内膜症を有する女性83名とその男性パートナー74名を対象に横断面的研究を行い、避妊を望み外来を訪れた40名の女性とその男性パートナー26名をコントロール群とし比較した。

子宮内膜症を有する女性における回答率は59.3%(83/140)、そのパートナーからの回答率は52.3%(74/140)であった。コントロール群の女性の回答率は43.2%(41/95)、その男性パートナーの回答率は27.4%(27/95)であった。

Menopause female medical condition due to aging as a human uterus as a menopausal condition concept in a 3D illustration elements.

子宮内膜症群の女性はコントロール群の女性と比較し性交の際に疼痛を感ずる頻度は高くそれぞれ53%と15%、慢性疼痛のレベルも高くそのvisual analogue scale(VAS)の中央値はそれぞれ2.0cmと0.0cm、性機能障害をみる割合も高く、性機能障害の中央値も25.4とコントロールの30.6を有意に下回った。子宮内膜症群の女性のQOLの障害のレベルも高く、Short Form-12のスコアの中央値は66.3とコントロール群の女性の87.2を有意に下回った。疼痛に対する破局的思考のスケールは17.8とコントロール群の女性における8.5を有意に上回った。また、抑うつと不安症状を示すHospital Anxiety and Depression Scaleの抑うつのスケールは7とコントロール群の女性の4を有意に上回り、不安のスケールも4とコントロール群の女性の1を有意に上回った。

子宮内膜症を有する女性の男性パートナーとコントロール群の男性パートナーにおいて性機能に差異は認められなかった。ロジステック回帰分析の結果、性機能に有意なネガティブな独立した予測因子は性交痛でそのオッズ比は0.54、抑うつ症状のオッズ比は0.761という結果であった。慢性骨盤痛はQOLにネガティブな影響を及ぼす独立した有意な予測因子でそのオッズ比は0.53、また、抑うつ症状に対するオッズ比も0.65と有意な低下が認められた。

Dyspareunia and depressive symptoms are associated with impaired sexual functioning in women with endometriosis,whereas sexual functioning in their male partners is not affected
A.A.De Graaff,J.Van Lankveld,L.J.Van Beek,and G.A.J.Dunselman
Hum Reprod.2016 Nov;31(11):2577-2586

【文献番号】r11200 (子宮内膜症、診断、治療、病態、チョコレート嚢胞、合併症)