医原性高次多胎妊娠がヘルスケアシステムに対してもたらす経済的なリスクについて
医原性高次多胎妊娠はヘルスケアシステムに対しかなりの経済的なリスクをもたらすものと考えられます。1998年に胚移植数に関するガイドラインが発表されて以来、高次多胎妊娠は劇的に減少し、それに伴う累積経済的負担の削減率は60億ドル以上に達するものと考えられます。
高次多胎妊娠をさらに減少させることによって、年間20億ドルの削減がさらに可能となるのではないかと思われます。
Economic implications of the Society for Assisted Reproductive Technology embryo transfer guidelines:healthcare dollars saved by reducing iatrogenic triplets
Malinda S.Lee,Brady T.Evans,Ariel D.Stern,Mark D.Hornstein
Fertil Steril.2016 Jul;106(1):189-195,e3
【文献番号】r02500 (多胎妊娠、胎児減数手術、多胎妊娠回避法、胎児自然喪失)
1998年のSARTのガイドラインの発表後、3胎以上の高次多胎妊娠の減少によって国全体として経済的負担の削減がどの程度はかられたか調査した。1998~2012年における高次多胎分娩の総数を調べ、それに伴う費用の削減の状態を2014年のドルベースで算出した。単胎分娩に関わる費用は17,100~24,200ドルであったが、双胎分娩の費用は66,000~117,500ドル、3胎分娩では190,800~456,300ドルであった。
全てのART分娩の中の高次多胎妊娠の割合は1997年には11.4%であったが、2012年には2.0%へ低下し、ガイドラインが発表されて以来、年間20.3%の顕著な減少が認められた。1998~2012年に高次多胎妊娠の抑制された数は13,500~16,300例と推定され、それに応じて費用が60億2千万ドル削減されたと推定され、2014年のドルベースでの範囲は23億5千万~70億3千万ドルと推定された。