精子にHPVが認められた場合、自然妊娠とARTによる妊娠の累積妊娠率は有意に低下し、流産率は上昇するという結果が得られた論文
精子にhuman papillomavirus(HPV)が認められた例においては、自然妊娠とARTによる妊娠の累積妊娠率は有意に低下し、流産率は上昇するという結果が得られました。精子における感染が妊孕性を低下させる確かなメカニズムは明らかではなく、さらに検討してみる必要があります。
もし、さらに検討を進めこのような結果が確認された場合には、不妊カップルにおける臨床的および診断的アプローチに変化をもたらすのではないかと思われます。
Spontaneous fertility and in vitro fertilization outcome:new evidence of human papillomavirus sperm infection
Andrea Garolla,Bruno Engl,Damiano Pizzol,Marco Ghezzi,Alessandro Bertoldo,Alberto Bottacin,Marco Noventa,Carlo Foresta
Fertil Steril.2016 Jan;105(1):65-72el
精液におけるHPVの感染の有無でARTを受けた不妊カップルの臨床結果にどのような差異がみとめられるか検討した。226名の不妊カップルを対象に横断面的研究を行った。FISHを用いて精子におけるHPV感染の有無を調べた。女性パートナーにはIUIあるいはICSIを試みた。
54名(23.9%)の男性パートナーにおいて、HPV感染が確認された。HPVは精子あるいは剥離細胞あるいはいずれの細胞にも認められた。非感染カップルにおいては自然妊娠が認められた。IUIとICSIを非感染群においてはそれぞれの60周期と98周期、感染群にはそれぞれ21周期と33周期に行った。
累積妊娠率は非感染者群では38.4%、感染者群では14.2%という結果が得られた。流産率は感染者群では62.5%と非感染者群における16.7%を有意に上回った。感染者群において継続妊娠に至ったものは、HPV感染が剥離細胞に限局していた。