microTESEを行う際に精細管が拡張している場合には精子回収率は90%にも及んだが拡張した精細管が認められなかった場合には精子回収率は7%にとどまった。
microTESEは非閉塞性無精子症患者における最も優れた標準的な外科的アプローチとされている。その術式は20年ほど前に導入されたが、精子の回収率は各医療センターにおいても大きな差異が認められる。
この問題を説明するための因子の中には高倍率で観察した精細管の内径のパターンが精子回収率と相関するのではないかと報告されている。
しかし、精細管のパターンと精子の回収率との相関を支持する正確な診断法は明らかになっていない。そこでmicroTESEの際に精細管の直径のパターンを調べ非閉塞性無精子症患者における精子の回収率の予測因子となるか否か検討した。
2015~ 2017年にかけて非閉塞性無精子症患者143名を対象に横断面的研究を行った。microTESEを一側に行ったものが64名、両側に行ったものが79名であった。精子回収の評価は精巣当たりとしその総数は222個であった。
FSH、LH、テストステロンレベル、精巣体積、精巣組織および精細管のパターンを指標に精子の回収率の予測を試みた。
microTESEの際には精細管の拡張したものから精子の回収を試みた。また、周りのものよりもやや拡大したものから精子の回収を試みた。拡大した精細管あるいはやや拡大した精細管が認められない場合には拡大の認められない精細管から精子の回収を試みた。
精子は42.8%(95/222)において回収された。拡張した精細管からは90%において、やや拡大した精細管においては47%において、拡張が認められなかった場合にはわずかに7%から精子が回収された。
精子の回収に対する段階的二項ロジステック回帰分析を用いて調べたところ、FSH、LH、テストステロンおよび精巣体積は予測モデルから除外された。
一方、精細管の内径は精子回収の予測因子となった。また、精巣組織所見も精子回収の予測因子となり、そのAUCは0.89であった。
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