正常と判定された組織と比較し、子宮内膜癌、子宮内膜増殖症、子宮内膜上皮内病変などと診断された組織において、微量金属の蓄積が認められました。
女性の生殖器官における金属の存在とその役割、また、病態発生に関わる意義などについて考えてみる必要があります。
Metal accumulation in the human uterus varies by pathology and smoking status
Piotr Rzymski,Przemyslaw Niedzielski,Pawel Rzymski,Katarzyna Tomczyk,Lidia Kozak,Barbara Poniedzialek
Fertil Steril.2016 Jun;105(6):1511-1518.e3
子宮内膜組織、頚管内膜、子宮内膜ポリープおよび頚管内膜ポリープにおける Al、Cd、Cr、Cu、Mn、Ni、PbおよびZnの含有量と組織像、背景に関わる因子および生活習慣などとの関係について調査した。組織は掻爬によって採取し組織検査を行い、さらにマイクロウェーブを利用した発光分光分析法による検査を試みた。質問票を用いて背景となる要因および生活習慣に関わる要因を収集した。
子宮内膜採取群60名、頚管内膜採取群23名、子宮内膜ポリープ群16名、頚管ポリープ群10名を対象に調査を行った。子宮内膜の組織学的検査によって22名は正常、3名は不整子宮内膜、12名はポリープ様子宮内膜、10名は単純子宮内膜増殖症、5名は子宮筋腫、8名は癌と診断された。頚管内膜を調べた患者においては正常群が10名、炎症群が8名、不整群が2名、上皮内病変群が3名であった。
組織学的に正常と判定されたものと比較し、子宮内膜癌、子宮内膜増殖症、子宮内膜上皮内病変が認められたものではCdやPbなどの毒性を有する金属の含有量は上昇し、CuおよびMnの含有量にも変化が認められ、Cu/Zn比は上昇した。
現在あるいは過去の喫煙者では組織中のCdとPbのレベルの上昇が認められた。子宮内膜ポリープにはAl、Cd、NiおよびPbの有意な蓄積が、頚管ポリープにおいてはAl、CdおよびCuの有意な蓄積が認められた。
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