ART

男性の内科的合併症とIVFの臨床結果には相関があることを示した論文

男性の内科的合併症とIVFの臨床結果には相関があることが確認されました。これらは変更可能な因子でもあり、男性の健康にかかわる問題の治療がIVFの成績を向上させるか否かという点について、さらに検討をする必要があります。

Relationship between paternal somatic bealth and assisted reprouctive technology outcomes 

Michael L.Eisenberg,Shufeng Li,Lauren A.Wise,Courtney D.Lynch,Steven Nakajima,Stuart A.Meyers,Barry Behr,Valerie L.Baker

Fertil Steril.2016 Sep;106(3):559-565

【文献番号】r04200 (ART、妊娠、出産、合併症、流産、早産、子宮外妊娠、リスク因子、卵管留水腫)

男性の内科的合併症とARTの結果との関係について調査した。2004~2014年にかけて新鮮卵子と男性パートナーの新鮮射出精子を用いて実施したARTを対象に分析を行った。患者とそのパートナーの背景となるいろいろな因子を調査した。

男性パートナーの共存症の情報を得るために国際疾病分類のコードを利用し病院の医療費請求が関わるテデータベースから情報を収集した。評価項目は受精率、臨床的妊娠率、流産率、着床率、生児出産率および出生体重と分娩週数とした。

5,037周期に関わった2,690名の男性の分析を行った。男性の27%は少なくとも1つの内科的合併症の診断を受けていた。神経系疾患を有する男性はそれ以外の男性と比較して妊娠率の平均値は低くそれぞれ23%と30%、また生児出産率も低下しそれぞれ15%と23%であった。

呼吸器系疾患の有無で比較したところ、疾患群において受精率は低下し、それぞれ61%と64%、また筋骨格系疾患の有無で比較したところ、疾患群において受精率は低下し、それぞれ61%と64%であった。内分泌系疾患の有無で比較したところ、疾患群において児の出生体重は低く、それぞれ2,970gと3,210gであった。また、精神系疾患の有無で比較したところ、疾患群において分娩週数は有意に短縮し、それぞれ36.5週と38.0週であった。

関連記事

  1. ART

    IVF治療後の出産を予測するための機械学習モデルの比較:全国データベースからの463,669サイクル…

    人工頭脳を利用した生児出産の予測モデルを作成したところdeep neu…

  2. ART

    全胚凍結戦略がARTにもたらすもの〜有用性と適正な評価の必要性

    卵子や胚のvitrificationを試みることによって黄体機能不全の…

  3. ART

    世界におけるARTの実施状態とその結果について調査した論文

    世界的にみてARTの実施状況を調べたところ、その利用頻度と有用性は国に…

  4. ART

    形態による胚選択を伴う非ドナー卵体外受精の使用は、40〜43歳の患者にとって効率的

    40~ 43歳の高齢女性においては自己の卵子を用い形態的に胚の選択をし…

  5. ART

    35歳未満の女性におけるⅠ型糖尿病とAMHの関係性についての論文

    35歳未満の女性において、I型糖尿病を有している場合には糖尿病を有して…

  6. ART

    チョコレート嚢胞以外の良性卵巣腫瘍の摘出が、卵巣予備能にどのような影響を与えるかを調べた論文

    チョコレート嚢胞以外の良性卵巣嚢腫を摘出したところ、血中AMHレベルは…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

サイト情報をキャッチ

Push7でプッシュ通知を受け取る:



FeedlyでRSS購読をする:



>> プッシュ通知やRSSについてはこちらをご覧下さい

最近の記事

記事ランキング

アーカイブ

最近チェックした記事

    最近のコメント

      1. ART

        世界におけるARTの実施状態とその結果について調査した論文
      2. 妊娠の科学

        制御された精子DNA損傷の卵母細胞DNA修復能力は女性の年齢によって影響される
      3. ライフスタイル

        女性生殖器と金属の関係における考察の必要性について投げかけた論文
      4. ART

        IVFおよびICSIにおける累積生児出産率と採卵数の関係について示した論文
      5. 不妊治療

        ESHREガイドラインにおけるPOIの診断と治療について③
      PAGE TOP