ごくわずかな有益性は除外することはできないが、子宮外妊娠における卵管切除術はその後の妊孕性にポジティブな影響はもたらさないという結果が得られた。また、サブグループによる分析において卵管切開術にメリットがあるという結果は得られませんでした。
O-054 Fertility after salpingotomy versus salpingectomy in women with tubal pregnancy; an individual patient data metaanalysis
N.Netteb1, P. Capmas2, H. Fernandez2, P. Hajenius1, B. Mol3, M. van Wely1, F. Mol1, O. behalf of the DEMETER study
group2, O. behalf of the ESEP study group1.
1Academic Medical Center, Q3-119 Obstetrics Gynaecology, Amsterdam, The Netherlands.
2Hôpital Bicêtre, Service de Gynécologie Obstétrique, Le Kremlin Bicêtre Cedex, France.
3Monash Medical Centre, Department of Obstetrics and Gynaecology, Clayton, Australia.
卵管妊娠は卵管を切除する方法か、また開口術を試みる方法があるが、卵管開口術ではトロホブラストが存続しさらに治療が必要となることもある。2つの無作為化対照試験のデータを用いた従来のメタアナリシスでは卵管開口術においては明らかなメリットは見られないが多少のメリットがある可能性がある。
今回、子宮外妊娠の手術の前に患者の特性にもとづきその後の継続妊娠の面から卵管切開術でメリットが得られる女性を識別しようと試みた。Cochrane婦人科および妊孕性グループと協力し国際的なデータベースから無作為対照試験に参加した個々の患者のデータを得てメタアナリシスを行った。卵管切開術を行った群と卵管摘出術を行った群を比較した臨床試験を抽出した。
一次評価項目は自然妊娠に伴う継続妊娠率とした。無作為化した後の追跡期間は継続妊娠となった最後の月経までとした。すべての分析はITT分析に基づいて行った。また、フィックスト効果モデル、ランダム効果モデルを用いてメタアナリシスを行った。2つの臨床試験が対象となった。
卵管切開術あるいは卵管摘出術を受けた653名の女性のデータを分析した。自然妊娠による累積継続妊娠率は卵管切開術後においては58.3%、切除後では55.0%、継続妊娠までの平均期間は卵管切開術群においては21.9か月、卵管切除術群においては23.8か月とそのハザード比は1.07で統計的有意差は認められなかった。
患者の年齢、hCGレベル、子宮外妊娠の腫瘤の大きさと継続妊娠の確率との間には相関は認められなかった。また、母体の年齢と子宮外妊娠の腫瘤の大きさとの間にも相関は認められなかった。血中hCGレベルが2,335IU/L未満の群においては継続妊娠率の割合は高く累積継続妊娠率は卵管切開術後においては63.8%、卵管切除術群においては60.5%、その妊孕率比は1.18と統計的有意差を得るには至らなかった。
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