着床障害

反復着床障害の患者における血中の代謝産物のレベルについて検討した論文

反復着床障害の患者においては、反復着床成功例の患者と比較し血中のvaline、adipic、acid、L-lysine、creatine、ornithine、glycerol、D-glucoseおよび尿素の8つの代謝産物が有意に高い値を示すという測定結果が得られました。

Repeated implantation failure versus repeated implantation success:discrimination at a metabolomic level
Souray Roy Choudhury,Apoorva Singh,Nalini J.Gupta,Sudha Srivastava,Mamata V.Joshi,Baidyanath Chakravarty,and Koel Chaudhury
Hum Report.2016Jun;31(6):1265-1274
【文献番号】r01800 (着床、子宮内膜、サイトカイン、遺伝子、内分泌環境、薬物療法)

周期当たり3個の良好胚を移植したにもかかわらず、3回以上胚移植を試みるも反復着床障害に陥る例が認められる。一方、移植周期で着床に成功するも産科的既往歴が不良な女性も認められる。
そこで、IVFを受けた際に反復し着床障害に至る女性と、反復し着床に成功する女性とを対象に、血中の代謝産物のレベルに差異が認められるか否か検討するために、2004年~2014年にかけて研究を行った。

40歳以下でBMIが28以下の反復着床障害の女性28名と年齢とBMIをマッチさせた反復着床成功例の24名の女性をデータベースから抽出した。反復着床障害群の女性は少なくとも3回連続し着床障害を経験していた。いずれも3個の良好胚の移植を受けていた。
いずれの群からも着床のウィンドウに相当する時期に少なくとも10時間の絶食後血液を採取した。採血の時期は排卵後7~10日に相当する時期であった。

検体は700MHzのNMRスペクトロメーターを用いて調べた。また、endothelial nitric oxide synthase(eNOS)は酵素免疫測定法を用いて調べた。
反復着床成功群においては反復着床不成功群と比較し、valine、adipic acid、L-lysine、creatine、ornithine、glycerol、D-glucoseおよび尿素のレベルに有意な低下が認められた。また、血中eNOSは反復着床障害群において有意に低い値を示したことから、nitric oxideの産生の障害を伴っているものと推定された。

エネルギー産生に関わる代謝産物、脂質代謝およびアルギニン代謝経路に関わる代謝産物に有意な変化が認められ、反復着床障害に関わっているのではないかと予想された。反復着床障害群におけるこれらの分子の間の相互作用が複雑で、さらに研究が必要である。

関連記事

  1. 検査・診断

    血中DHEASは着床の成功と着床の不成功/早期流産の早期の予測因子になることを示した論文

    IVFを受けた正常月経周期を有する女性において、血中DHEASの確かな…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

サイト情報をキャッチ

Push7でプッシュ通知を受け取る:



FeedlyでRSS購読をする:



>> プッシュ通知やRSSについてはこちらをご覧下さい

最近の記事

記事ランキング

アーカイブ

最近チェックした記事

    最近のコメント

      1. ART

        Day5対Day6の新鮮および凍結胚盤胞移植サイクルの結果:系統的レビューとメタ…
      2. 未分類

        胚の早期卵割異常と胞胚形成または着床率との間に関係はあるのか?~タイムラプスイメ…
      3. ART

        形態による胚選択を伴う非ドナー卵体外受精の使用は、40〜43歳の患者にとって効率…
      4. 男性不妊

        男性因子不妊症における酸化還元電位の予測可能性を精液分析と組み合わせて評価する:…
      5. ART

        第1細胞質分裂後の割球の移動時間が新鮮胚移植後の臨床的妊娠率に影響を与えることに…
      PAGE TOP