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大規模な医療センターにおいて行われた経腟採卵に伴う合併症について調査

採卵に伴う合併症と有意な相関を示す因子は女性の年齢、BMI、採卵数、採卵時間、医師の経験およびリスク因子の有無などであった。経腟採卵に伴う合併症の発現頻度は 0.76%、入院が必要となる合併症は0.56%であった。

大規模な医療センターにおいて行われた経腟採卵に伴う合併症について調査した。23,833周期に経腟採卵が行われた。調査期間に行われたすべての採卵周期を対象に分析を行った。

少なくとも 24時間にわたって入院が必要となった合併症を重度合併症とした。経腟超音波ガイド下の採卵はトリガー後 34~36時間で実施された。

手術室において深い鎮静状態で 35mmの 17-Gの採卵針を用いて採卵した。抗生物質の予防投与はリスク因子を有している患者以外にはルーチンに使用しなかった。12,615名の患者のうち96名(0.76%)に合併症が認められ、71名(0.56%)に入院が必要となった。

平均入院期間は2.77日であった。採卵当たりの合併症は 0.4%、入院の頻度は 0.29%という結果であった。外科的操作が必要であったものは 24名で採卵当たり0.1%、患者当たり0.19%という結果であった。

多変量解析で調べたところ、合併症と女性の年齢、BMI、採卵数および採卵に要した時間との間には有意な相関が認められた。合併症の発現率は採卵経験が 250例未満の医師において上昇した。250例超の経験のある医師における合併症のオッズ比は0.63という結果であった。

合併症の最も重要なリスク因子は採卵数の上昇、採卵時間の延長、医師の経験不足、BMIの低下、開腹手術、骨盤手術または骨盤の炎症性疾患の既往歴などであった。腹腔内出血を認めた54件の採卵において16件は外科的リスク因子を有していた。

Oocyte retrieval complications: an update after 23,833 procedures in an academic tertiary care ART referral center.
P.Levi Setti1, F. Cirillo1, V. Scolaro1, F. Heilbron2, D. Girardello3, E. Zannoni1, P. Patrizio4.
1Humanitas Research Hospital, Humanitas Fertility Center- Department of Gynecology- Division of Gynecology andReproductive Medicine, Rozzano Milan, Italy.
2Humanitas University, Humanitas University, Rozzano Milan, Italy.
3Humanitas Research Hospital, Department of Anesthesiology and Intensive Care, Rozzano Milan, Italy.
4Yale University- School of Medicine- New Haven, Department of Obstetrics- Gynecology and Reproductive Sciences, New Haven- Connecticut-, U.S.A..

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