早期分割期胚で異常が認められた場合には胞胚腔形成率や着床率は低下することからタイムラプスで発育動態を調べ、また、形態的なパラメーターを活用することによって非侵襲的に良好胚の選択を促すことができるものと思われる。
いくつかの報告によると、胚を選別する際に胚の発育動態のパラメーターを用いることが有用であると報告されている。それら大部分は非定型的な発育動態を示した胚はヒトの胚においてよく認められるが直接分割、迅速分割、逆行分割などを含む異常な分割が認められた場合には胚発育を障害すると報告されている。
また、これらの胚においては胚盤胞形成率はコントロール群に比較し有意に低下するとも報告されている。さらに、着床率の低下ももたらすという結果も得られている。しかし、これらの観察は少数例をもとにしたもので完全な調査が行われているわけではない。
そこで、胚の発育動態が非定型的であるものの発現率をタイムラプスを用いて調べ、それらが胚発育の不良や着床率の低下と相関するか否か検討した。
2015~ 2017年においてエンブリオスコープを用いて培養した全周期を対象とした。胚のビデオを用いて発育動態の状態を後方視的に分析した。2倍体の接合子のみを対象とした。胚発育はday2とday5~ 6の時点で調べた。
早期の分割に異常が認められたものを調べたところ、直接分割は23.5%(349/1,486)、迅速分割は25.9%(388/1,495)、逆行分割は7.4%(109/1,480)に認められた。
非定型的な分割が認められたものの胚はday2において良好胚になる割合が低く5.3%(30/566)という結果で異常が認められなかった場合における良好胚の割合は42.2%(395/936)という結果であった。
同様にday5においてB3以上およびBB以上の良好胚は早期分割期胚で異常が認められた場合には13.8%(65/470)、異常が認められなかった場合においては40.6%(197/485)という結果で2群間で統計的有意差が認められた。
day2における異常のタイプ別にみても良好胚の割合に有意差が認められ、直接分割の有無別に調べた場合、それぞれ6.3%(22/349)と35.4%(403/1,138)、迅速分割においては2.6%(10/388)と38.3%(415/1,083)、逆行分割においては9.2%(10/109)と30.3%(415/1,371)という結果であった。
また、day5においても同様で直接分割が認められた場合にはそれぞれ8.2%(24/292)と37.1%(240/647)、迅速分割が認められた場合には14.3%(48/336)と37.1%(220/593)、逆行分割が認められたものでは9.3%(9/97)と30.3%(253/834)であった。
day2あるいはday5で胚移植を試みた521個の胚の中で異常な分割をみたものは104個(19.9%)であった。104個の異常胚の中の14個が着床に至りその割合は13.5%であった。一方、正常な分割パターンをみた胚における着床率は20.1%(84/417)であった。しかし、これらの数値には統計的有意差は得られなかった。
Is there a relation between embryo early cleavage abnormalities and blastulation or implantation rates? Aretrospective time-lapse imaging study
R.Naam Ouarezki1, X. Ferraretto1, M. Vigan2, J. Lousqui1, M. Llabador de Royer1, M. Peigné3, S. Tubiana2, S. Epelboin3, C.Patrat1.
1Service de Biologie de la Reproduction, Hôpital Bichat- APHP, Paris, France.
2Département d’Epidémiologie- Biostatistique et Recherche clinique, Hôpital Bichat- APHP, Paris, France.
3Service de Médecine de la Reproduction, Hôpital Bichat- APHP, Paris, France.
この記事へのコメントはありません。