IVFを受けた正常月経周期を有する女性において、血中DHEASの確かな上昇は着床の成功と着床の不成功/早期流産の早期の予測因子となるのではないかと思われる。
正常月経周期を有する非PCOSの女性において、IVFの際の着床障害や早期流産を予測する上で着床期のDHEASの意義に関して調査した。
子宮内膜間質の脱落膜化は、着床の成立に必須の条件である。もし、適切な状態でなければ着床障害や早期流産を引き起こすことになる。
血中DHEAのレベルの上昇は、PCOSの患者において着床障害の発現頻度の上昇をもたらす因子と考えられている。対照的に、DHEAが低値を示す女性においてはDHEAを補充することによって、早期流産率を低下させると報告されている。
DHEASは、DHEAよりもより安定した物質である。今回、非PCOSの正常月経周期を
有する85名の女性を対象に前方視的予備的研究を行った。
いずれも、2016~ 2017年にかけてアンタゴニストプロトコールを用いてIVFを行った。低卵巣反応、早発卵巣不全および高アンドロゲン症の患者は対象から除外した。いずれも、day5において選択的単一胚盤胞移植を試みた。血中DHEASは基礎レベルと胚移植後7日目および14日目の時点で測定した。β-hCGは単一胚盤胞移植後7日目の時点において測定した。
着床率と生児出産率を主要評価項目とした。生児出産群は33名、生化学的妊娠群は3名、早期流産群は2名、非着床群は47名という結果であった。
それぞれの割合は38.82%、3.53%、2.35%、55.29%という結果であった。DHEASは基礎レベルから選択的単一胚盤胞移植後7日の時点および14日の時点において生児出産群において確実な上昇が認められそれぞれ165、390.3および737.9という結果が得られた。
また、この上昇傾向は早期流産群においても観察されそれぞれ68.5、247.5および255という結果が得られた。
しかし、生化学的妊娠群においてはこの上昇のパターンは認められず、それぞれ211.7、120および258.3という結果であった。
非着床群においてはday7において顕著な上昇が認められday14においては低下しそれぞれの値は201.1、1,321、791.7という値であった。day7/基礎レベルDHEAS比に有意差が認められ生児出産群においては2.59、生化学的妊娠群においては0.61、早期流産群においては3.61、非妊娠群においては9.65という結果が得られた。
同様に、day14/day7のDHEAS比はそれぞれ2.23、2.16、1.03、0.8と有意差が認められた。基礎レベルからday7へさらにday7からday14にかけてDHEASが2倍の上昇が認められた場合には着床が成立し生児出産に至る可能性が示唆された。
N.Chimote1, B. Chimote2.
1Vaunshdhara Clinic & Assisted Conception Centre, Embryology & Reproductive Endocrinology, Nagpur, India.
2Vaunshdhara Clinic and Assisted Conception Centre, Clinical Embryology- Reproductive Endocrinology, Nagpur, India.
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