ART

全胚凍結戦略がARTにもたらすもの〜広がりつつある全胚凍結戦略

全胚凍結戦略によってOHSSを回避できることが最も大きなメリットであるが、その他のいくつかの因子もARTに全胚凍結戦略を導入する要因となっている。ARTの計画が柔軟に立てることが出来るようになり、IVF施設の対応にもメリットがあるという点を見過ごすことはできない。全胚凍結戦略がARTに新しい時代をもたらすのではないかとも考えられる。今後、デザインの良い研究で全胚凍結戦略の臨床的有用性を慎重に確認する必要がある。

A fresh look at the freeze-all protocol:a SWOT analysis
Christophe Blockeel,Panagiotis Drakopoulos,Samuel Santos-Ribeiro,Nikolaos P.Polyzos,and Herman Tournaye
Hum Reprod.2016 Mar;31(3):491-497
【文献番号】r05100 (胚凍結、胚盤胞凍結、vitrification、緩慢凍結)

全胚凍結戦略は広く行われるようになってきており、SWOT分析による評価も試みられている

GnRH antagonist protocolを用いて、GnRH agonistでトリガーし、vitrificationを利用した選択的全胚凍結を試み、その後の周期で凍結融解胚移植を行うという全胚凍結戦略は広く行われるようになってきている。しかし、このアプローチにも問題がある。SWOT分析(strengths、weaknesses、opportunities and threats analysis)によって、この戦略のいろいろな面に焦点をあてた分析も行われている。

GnRH antagonist protocolは主流となりつつあり、特に高卵巣反応の患者において有用である

GnRH antagonist protocolはIVFにおいては主流となりつつあり、特に高卵巣反応の患者において有用と考えられている。IVFにおいて最も重大な副作用である卵巣過剰刺激症候群(OHSS)に対しても有効な治療法となる。GnRH antagonistを用いることによってOHSSのリスクは有意に低下させることができることが確認されているが、さらに卵子の最終の成熟をもたらす上でGnRH agonistを用いることによってもOHSSのリスクは低下する。

GnRH agonistによるトリガーではLHの過剰な抑制によって黄体機能不全が引き起こされる

GnRH agonistによるトリガーはhCGトリガーと比較しても採卵にネガティブな影響を及ぼすことなく同様な成熟卵が得られ、また同様な胚発育が認められている。GnRH agonistによるトリガーを試みた場合、黄体機能不全が引き起こされることがあるが、おそらく下垂体のLHの放出に対する過剰なネガティブフィードバックがかかわっているものと思われる。

関連記事

  1. ART

    卵巣刺激下のIUIによって継続妊娠率の向上が見られたことを示した論文

    原因不明不妊カップルにおいて、卵巣刺激下のIUIを施行することによって…

  2. ART

    2個以上の胚を移植するも単胎分娩に至った場合における受胎時の胎児数についての論文

    2個以上の胚を移植するも単胎分娩に至った例において周産期の臨床結果にネ…

  3. ART

    不妊治療で妊娠に至った単胎妊娠の親において、妊娠期間中から産褥期に渡って不安レベルの上昇が認められた…

    不妊治療で妊娠に至った単胎妊娠の親において、周産期に不安のレベルの上昇…

  4. ART

    男性の内科的合併症とIVFの臨床結果には相関があることを示した論文

    男性の内科的合併症とIVFの臨床結果には相関があることが確認されまし…

  5. ART

    トリガーの日における血中プロゲステロンレベルによる継続妊娠率の変化について

    トリガーの日における血中プロゲステロンレベルが 1.14ng/mL超の…

  6. ART

    出生の累積確率を予測するための治療前カウンセリングツールについて

    卵巣予備能と年齢を用い生児出産の予測モデルを作成したところ、陽性予測値…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

サイト情報をキャッチ

Push7でプッシュ通知を受け取る:



FeedlyでRSS購読をする:



>> プッシュ通知やRSSについてはこちらをご覧下さい

最近の記事

記事ランキング

アーカイブ

最近チェックした記事

    最近のコメント

      1. 男性不妊

        microTESE時の精細管拡張と精子回収率について
      2. 代理出産

        フィンランドで2007年に代理出産を禁止する法律が制定されたことによる影響につい…
      3. 子宮内膜症

        チョコレート嚢胞の再発と卵巣癌の相関について
      4. 妊娠の科学

        制御された精子DNA損傷の卵母細胞DNA修復能力は女性の年齢によって影響される
      5. ART

        形態による胚選択を伴う非ドナー卵体外受精の使用は、40〜43歳の患者にとって効率…
      PAGE TOP