子宮内膜症を有している女性においては、コントロールの女性と比較し自然流産の発現頻度に有意な上昇が認められました。
Increased rate of spontancous miscarriages in endometriosis-affected women
Pietro Santulli,Louis Marcellin,Sophie Menard,Thibault Thubert,Babak Khoshnood,Vancessa Gayet,Franois Goffinet,Pierre-Yves Ancel,and Charles Chapron
Hum Reprod.2016 May;31(5):1014-1023
子宮内膜症と流産との関係に関しては長い間論争が続いているがまだ結論に至っていない。そこで、子宮内膜症が組織学的に確認された女性においては、非子宮内膜症のコントロールの女性と比較し自然流産の頻度が上昇するか否か検討した。
子宮内膜症群と非子宮内膜症のコントロール群の女性を対象に流産の頻度を比較するために後方視的コホート研究を行った。調査に参加したすべての患者は良性婦人科疾患のために2004~2013年にかけて三次教育病院において手術を受けた患者であった。
手術時に腹腔-骨盤腔のチェックを受けた870名の女性において子宮内膜症が組織学的に確認された。これらの患者を子宮内膜症群とした。
一方、子宮内膜症病変が認められなかった981名をコントロール群とした。妊娠の既往のある女性のみを調査の対象に分析を行った。
分析の対象となったものは子宮内膜症群284名、コントロール群466名であった。構造的質問票を用いてデータを術前に収集した。手術の前に少なくとも1度の妊娠を経験している女性において妊娠第1三半期の状態を調べた。不妊の既往歴および疾患の重症度別に流産に関する調査を行った。
子宮内膜症群においては478回の妊娠が認められ、コントロール群においては964回の妊娠が認められた。流産率は子宮内膜症群においてはコントロール群より有意に高く、それぞれ29%(139/478)と19%(187/964)であった。
子宮内膜症群とコントロール群の女性の流産率をサブグループ別に分析したところ、不妊の既往歴を伴わない女性においてはそれぞれ20%と12%、不妊の既往歴を有している女性においてはそれぞれ53%と30%でいずれも統計的有意差が認められた。
random-effects Poisson regression を用いて背景となる要因で補正したところ、子宮内膜症群においては流産の罹患率比は有意に上昇し、1.70という結果であった。
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