女性の癌患者において、オンラインによる意思決定の支援を提供することによって意思決定に関わる葛藤のレベルは単なるカウンセリングを提供した群と比べ有意に低下した。
女性の癌患者は癌治療のため妊孕性の障害に直面することになる。今日、いくつかの妊孕性温存の選択肢が開発されているが、癌と診断された後短期間に妊孕性温存を選択するか否かということの意思決定を下さなければならない。
いろいろな研究において、すでに癌と診断された女性における意思決定に伴う葛藤のレベルは高いと報告されておりそのための支援が必要であると考えられている。そこで妊孕性温存に関するカウンセリングに加えてオンラインによる意思決定の支援が意思決定に伴う葛藤のレベルを低下させることができるか否か検討した。
癌と診断された後、不妊センターの1つに紹介された51名の女性を対象に無作為化対照試験を行った。対象者を2群に分け、1群にはカウンセリングのみを、2群にはカウンセリングとさらにオンラインによる意思決定の支援を行った。2016~ 2017年にかけてスイスとドイツの8か所の不妊センターが参加し調査を行った。
オンラインによる意思決定支援は生殖の専門家、婦人科医および心理学者などで構成される学際的チームが対応した。参加者にはカウンセリング後、1か月後および12か月後の3回にわたって支援を提供した。
調査は妊孕性に関わる知識、意思決定に関わる葛藤、意思決定に関わる後悔、妊孕性温存に対する態度、妊孕性温存を受ける意思、また社会的背景とした。介入群とコントロール群において意思決定に伴う葛藤のスケールに有意差が認められた。
オンラインによる意思決定の支援を受けた患者においては意思決定葛藤スケールの総スケールは有意に低下した。
また、意思決定葛藤スケールの4つのサブスケールのうちの3つの平均スコアは介入群においてコントロール群より有意に低下した。
O-036 Randomized controlled trial on the effect of an online decision aid for young female cancer patients considering fertility preservation
V. Ehrbar1, C. Urech1, C. Rochlitz2, R. Zanetti Daellenbach3, R. Moffat4, R. Stiller5, A. Germeyer6, F. Nawroth7, A. Dangel7,
S. Findeklee8, S. Tschudin1.
1University Hospital Basel, Gyn. Socialmedicine and Psychosomatics, Basel, Switzerland.
2University Hospital Basel, Medical Oncology, Basel, Switzerland.
3St. Claraspital Basel, Gynecology and Gynecologic Oncology, Basel, Switzerland.
4University Hospital Basel, Gynecology and Obstetrics, Basel, Switzerland.
5University Hospital Zurich, Gynecology and Obstetrics, Zurich, Switzerland.
6University Hospital of Heidelberg, Gynecological Endocrinology and Reproductive Medicine, Heidelberg, Germany.
7amedes Hamburg, Centre for Infertility- Prenatal Medicine- Endocrinology and Osteology, Hamburg, Germany.
8University Hospital Friedrich-Alexander, University Women’s Hospital- Comprehensive Cancer Center ER-MN, Erlangen-
Nuernberg, Germany.
この記事へのコメントはありません。