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IVFまたはICSIを受けた卵管留水腫を有する女性における妊娠継続率について、子宮鏡下卵管閉鎖術と腹腔鏡下卵管切除術を比較した論文

IVF/ICSIを受けた卵管留水腫を有する女性において、子宮鏡下卵管閉鎖術は腹腔鏡下卵管切除術よりも継続妊娠率という点から劣っているという結果が得られました。

Hysteroscopic proximal tubal occlusion versus Iaparoscopic salpingectomy as a treatment for hydrosalpinges prior IVF or ICSI:an RCT
K.Dreyer,M.C.I.Lier,M.H.Emanuel,J.W.R.Twisk,B.W.J.Mol,R.Schats,P.G.A.Hompes,and V.Mijatovic
Hum Reprod.2016 Sep;31(9):2005-2016

IVFを受けた卵管留水腫を有する女性は、それ以外の卵管性不妊の女性と比較し妊娠の結果が不良となることが知られている。このような女性において腹腔鏡下卵管切除術や腹腔鏡下卵管起始部結紮術がIVFの結果の改善をもたらすと報告されている。

現在のところ、低侵襲性子宮鏡下卵管起始部閉鎖術で、腹腔鏡下卵管切除術と同様な継続妊娠率が得られるか否かということに関してはよくわかっていない。そこで、卵管留水腫を有する患者に卵管内避妊装置であるessureを利用した子宮鏡下卵管起始部閉鎖術を試みた群と腹腔鏡下卵管切除術を試みた群でIVF/ICSI後の継続妊娠率を、2か所の医療センターで無作為対照非劣性試験を試み比較した。

2009~2014年において85名の女性を対象に調査を行った。42名が子宮鏡下卵管起始部閉鎖術群、43名を腹腔鏡下卵管切除術群とした。一次評価項目は妊娠10週超で胎児心拍が認められた継続妊娠率とした。これらの症例には新鮮胚移植および凍結融解胚移植を試みた。対象は18~41歳で、一側あるいは両側に卵管留水腫を認めたものとした。

患者あたりの継続妊娠率をITT分析で調べたところ、子宮鏡下卵管起始部閉鎖術群では11/42(26.2%)、腹腔鏡下卵管切除術群では23/43(55.8%)絶対差は26.1%、相対リスクは0.56という結果で、腹腔鏡下卵管切除術群のほうが優れた結果が得られた。

プロトコールあたりの分析による患者あたりの継続妊娠率は子宮鏡下卵管起始部閉鎖術群においては33.3%(9/27)、腹腔鏡下卵管切除術群においては59.4%(19/32)という結果で、その絶対差異は29.6%、相対リスクは0.47という結果であった。

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