自己の骨髄由来の幹細胞を卵巣内に注入することによって高齢の卵巣予備能の低下した患者の 81.3%において卵巣予備能のバイオマーカーに改善が認められた。MII期卵の数は上昇し、正倍数性の胚の割合は16.1%と低値を示したが5例に妊娠が成立した。
成熟した骨髄から得られた幹細胞を卵巣に移植することによって低卵巣反応の患者における障害された卵巣予備能を改善することができるか否か検討した。
2014~2017年において前方視的予備的研究を行った。ESHREのクライテリアに基づいて低卵巣反応と診断された17名の女性を対象とした。患者は40歳以下で不妊期間は3~5年で以前のIVFの24周期において低卵巣反応と診断された既往を有していた。
自己の骨髄幹細胞の卵巣内注入は動脈内に挿入したカテーテルを介して一側の卵巣に注入した。対側はコントロールとして温存した。骨髄幹細胞卵巣内注入を刺激するためにG-CSFを皮下投与した。幹細胞は5日目においてaphaeresisによって分離した。
また、卵胞の発育に関わる細胞成分と成長因子を調べた。カテーテルは一側の子宮卵巣動脈に注入し、非選択的CD133陽性細胞を注入した。自己の骨髄由来の幹細胞の卵巣内注入後血中AMHと胞状卵胞数を最大5か月まで記録した。
胞状卵胞数が上昇した後 2回目の月経周期において調節卵巣刺激を開始した。卵巣予備能のバイオマーカーは81.3%の患者において上昇した。幾人かの患者は治療を試みた卵巣とコントロールの対側の卵巣のいずれにおいても胞状卵胞数の上昇が認められた。
血中の FGF-2とTHSP-1の存在はAMHと胞状卵胞数に関わるパラメーターと正の相関を示した。自己の骨髄由来の幹細胞の卵巣内注入によって胞状卵胞数は基礎レベルよりも上昇した。また、最初の4週間においてAMHのレベルの上昇が一部の患者に認められた。以前の24回の調節卵巣刺激において35個のMII期卵が採取され 24個の胚が得られた。それらの 13個は形態的に良好胚と判定され移植したが妊娠は成立しなかった。
自己の骨髄由来幹細胞を卵巣内に注入後、28回の調節卵巣刺激が開始されたが至適条件であったものは4名に過ぎなかった。
採卵は刺激開始周期当たり 85.7%、胚が得られた周期は 67.8%、キャンセル率は 14.2%と前回の治療周期における29%を下回った。51個のMII期卵が採取され35個の胚がICSIによって得られ受精率は75.4%であったが 16.1%のみが正倍数性であった。5例の妊娠が成立し胚移植で 2例、1例は流産に、3例は自然妊娠であった。
従来の治療周期とIVFの成績を比較したところ胞状卵胞数、穿刺した卵胞の数およびMII期卵は自己の骨髄由来幹細胞の卵巣内注入後において有意な上昇が認められた
Autologous stem cell ovarian transplant (ASCOT), allowed 5 pregnancies in poor responders (PR) women
N. Pellicer De Castellvi1, S. Herráiz2, M. Romeu1, S. Mártinez1, A. Buigues2, I. Gómez-Seguí3, J. Martínez4, A. Pellicer5.
1Women´s Health Area, La Fe University Hospital, Valencia, Spain.
2Fundación IVI, Reproductive Medicine Research Group, Valencia, Spain.
3La Fe University Hospital, Hematology Department, Valencia, Spain.
4La Fe University Hospital, Radiology Department, Valencia, Spain.
5IVI Rome, Reproductive Medicine Research Group, Valencia, Spain.
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