ART

クロミフェンはIUIにおいて、最も費用対効果の優れたレジメンであることが確認された論文

クロミフェンと比較しFSHを用いてIUIを施行する場合、1例の継続妊娠を達成するためのさらなる費用は10,556.87ユーロ必要で、クロミフェンはIUIにおいて最も費用対効果の優れたレジメンであることが確認されました。

O-120 A cost-effectiveness analysis of ovarian stimulation with follicle stimulating hormone (FSH) compared with

clomiphene citrate (CC) in intra uterine insemination (IUI)

N.Danhof1, M. van Wely1, F. van der Veen1, M. Mochtar1.

1AMC, Center for Reproductive Medicine, Amsterdam, The Netherlands.

卵巣刺激下のIUIは原因不明不妊あるいは軽度男性不妊のカップルにおいて第1選択の治療法である。

ヨーロッパでは毎年176,000周期にわたるIUIが施行されている。

Cochrane reviewでは卵巣刺激の際にFSHを用いることを勧めている。しかし、多施設が参加した無作為対照試験の結果ではFSHで卵巣刺激を試みた場合の継続妊娠率および生児出産率はクロミフェン周期よりも優れているわけではないという結果が得られている。

厳密なキャンセルの基準を用いた場合、FSH周期とクロミフェン周期において同様な妊娠率が得られたが多胎妊娠率は低値にとどまったという結果も得られている。

そこで、厳密なキャンセルの基準を用いた場合、IUIを受けた原因不明あるいは軽度男性不妊のカップルにおいてFSHあるいはクロミフェンのいずれが費用対効果の面で優れているか調査した。

原因不明あるいは軽度男性不妊と診断された738組のカップルをオランダのヘルスケア評価協会に属する24か所のクリニックから抽出した。

費用の算定においては公的なソースや文献などから収集した。また、継続妊娠当たりの費用を75単位のFSHと100mgのクロミフェンを対象に増分費用対効果比を算出した。

カップル当たりの平均費用はFSHに対しては1,472.40ユーロ、クロミフェンに対しては1,014.65ユーロであった。FSHの有用性はクロミフェンよりも4%上昇するという結果が得られた。FSHを用いて1例継続妊娠例を達成するためのさらなる費用はクロミフェンに比べ10,556.87ユーロという結果であった。

また、さらなる1例の継続妊娠のために15,000ユーロを支払ってもよいとした場合、FSHはクロミフェンと比較し費用対効果の面で優れており67%に継続妊娠の可能性があるという結果が得られた。

もし、1例の継続妊娠に対して45,000ユーロを支払ってもよいとするならばFSHはクロミフェンと比較し費用対効果の面で優れており91%の継続妊娠の可能性があるという結果が得られた。

関連記事

  1. ART

    フィンランドの妊娠代理出産に関する患者の視点~ARTの時代に子宮のない女性はどうなるのか?

    フィンランドにおいては2007年代理出産を禁止する法律が制定された。そ…

  2. ART

    胚の着床には子宮内膜と胚の同調が必要であることを示した論文

    生存能力の高い胚であっても受容能のない子宮内膜に移植された場合には不成…

  3. ART

    35歳未満の女性におけるⅠ型糖尿病とAMHの関係性についての論文

    35歳未満の女性において、I型糖尿病を有している場合には糖尿病を有して…

  4. ART

    2個以上の胚を移植するも単胎分娩に至った場合における受胎時の胎児数についての論文

    2個以上の胚を移植するも単胎分娩に至った例において周産期の臨床結果にネ…

  5. ART

    なぜ、正倍数性の胚盤胞を移植しても継続妊娠に至らないのか考察した論文②

    ミトコンドリアからのエネルギーの供給が染色体分離と細胞分裂に重要な影響…

  6. ART

    大規模な医療センターにおいて行われた経腟採卵に伴う合併症について調査

    採卵に伴う合併症と有意な相関を示す因子は女性の年齢、BMI、採卵数、採…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

サイト情報をキャッチ

Push7でプッシュ通知を受け取る:



FeedlyでRSS購読をする:



>> プッシュ通知やRSSについてはこちらをご覧下さい

最近の記事

記事ランキング

アーカイブ

最近チェックした記事

    最近のコメント

      1. ART

        刺激と培養によるエピジェネティックな変化について
      2. 食生活

        原因不明不妊女性に対する抗酸化剤であるビタミンC、ビタミンE、βカロチン投与につ…
      3. ART

        子宮内膜症の術後にARTで一児を得た不妊患者において、2回目の生児出産率が高いと…
      4. ART

        フィンランドの妊娠代理出産に関する患者の視点~ARTの時代に子宮のない女性はどう…
      5. ライフスタイル

        環境汚染物質がヒトの生殖にとって大きな脅威になる可能性を示した論文
      PAGE TOP