原因不明不妊カップルにおいて、卵巣刺激下のIUIを施行することによって待期療法を試みるよりも継続妊娠率の機会は上昇するが、特に自然妊娠の確率が低いと考えられる患者において高い有用性が認められた。
O-121 Is intrauterine insemination with ovarian stimulation associated with higher chances of ongoing pregnancy
compared to expectant management in couples with unexplained subfertility?
N.van Geloven1, R. van Eekelen2,3, M. van Wely2, D. McLernon4, F. Mol2, I. Custers2, P. Steures5, S. Bhattacharya6, B. Mol7,
F.van der Veen2, M. Eijkemans3.
1Leiden University Medical Center, Department of Biomedical Sciences, Leiden, The Netherlands.
2Academic Medical Center, Centre for Reproductive Medicine, Amsterdam, The Netherlands.
3University Medical Center Utrecht, Biostatistics and Research Support, Utrecht, The Netherlands.
4Unversity of Aberdeen, Medical Statistics Team, Aberdeen, United Kingdom.
5Jeroen Bosch Ziekenhuis, Department of Obstetrics and Gynaecology, Den Bosch, The Netherlands.
6University of Aberdeen, Department of Applied Health Sciences, Aberdeen, United Kingdom.
7University of Adelaide, School of Paediatrics and Reproductive Health, Adelaide, Australia.
卵巣刺激下のIUIは原因不明不妊カップルにおいて第一選択の治療法である。2つの無作為対照試験によって卵巣刺激下のIUIと待期療法の比較が行われているが、必ずしも一致した結果は得られていない。
これらの臨床試験においてコンセンサスを欠いていることから原因不明不妊のカップルにおいて待期療法や卵巣刺激下のIUIを試みその妊娠率を比較してみる必要がある。
また、卵巣刺激下のIUIの効果は自然妊娠のカップルの予後の状態に依存するのではないかとも考えられる。
妊孕性の差異が臨床試験において必ずしも一致をもたらさない原因となっている可能性もある。
そこで、不妊検査終了後、1.5年以内に卵巣刺激下のIUIを開始した場合、待期療法を試みた場合に比較し継続妊娠率は上昇するか否かを原因不明不妊のカップルを対象に実施した。
7か所のオランダの医療センターにおいて2002~2004年において不妊検査を終了した時点において卵巣刺激下のIUIを開始した原因不明あるいは軽度男性不妊のカップルに前方視的コホート研究を行った。
両側卵管閉鎖、無排卵症、総運動精子数が100万未満のものは対象から除外した。追跡調査はIVFを開始した段階、また、不妊検査後1.5年の時点で行った。
評価項目は継続妊娠とした。逐次コックスアプローチを用いて卵巣刺激下のIUIを施行したカップルとIUIを行わなかったカップルを対象に6か月にわたって追跡調査しそれぞれの月の継続妊娠率を比較した。
また、自然妊娠などが関わる予後の状態が卵巣刺激下のIUIの開始にどのような影響を与えるか否かに関する調査も行った。1,896組のカップルからデータを収集した。
800組のカップルに少なくとも1度の卵巣刺激下のIUIを不妊検査終了後1.5年以内に実施した。
それらの中の142組のカップルが妊娠に至り1年当たりのカップルにおける妊娠率は0.50と算出され追跡調査の中央値は4か月であった。不妊検査の終了と卵巣刺激下のIUIの開始までの間の中央値は6.5か月であった。
治療を行わなかった1,096組のカップルのうち386組が自然妊娠に至り1年当たりのカップルに対し妊娠率は0.31、追跡期間の中央値は7か月という結果であった。
卵巣刺激下のIUIによって継続妊娠率の確率は上昇し全ハザード比は1.96と待期療法群より有意に高い値が得られた。治療効果は自然妊娠の確率を指標とした予後によって変化し、予後不良あるいは自然妊娠が成立しなかった場合には治療開始後の相対的妊娠率は上昇した。
その後6か月に25%の自然妊娠が望めるカップルにおいては6か月間にわたる継続妊娠率は待期療法群では25%であるが不妊検査後に卵巣刺激下のIUIを開始した場合には24%という結果が得られた。
予後が次の6か月で12%と予想されたカップルにおいては待期療法では12%であるが、卵巣刺激下のIUIにおいては24%という結果であった。
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