ART

35歳未満の女性におけるⅠ型糖尿病とAMHの関係性についての論文

35歳未満の女性において、I型糖尿病を有している場合には糖尿病を有していない女性と比較し、AMHレベルは有意に低下するという結果が得られています。このような差異の病因を決定するためには、さらに研究が必要です。
また、このような状況がI型糖尿病の女性における生殖に関わる異常に関わっているか否か、という点についてもさらに検討する必要があります。

Antimullerian hormone among women with and without type Ⅰdiabetes:the Epidemiology of Diabetes Interventions and Complications Study and the Michigan Bone Health and Metabolism Study
Catherrine Kim,Carrie Karvonen-Gutierrez,Shengchun Kong,Valerie Arends,Michael Steffers,Daniel S.McConnel,John F.Randolph Jr.,Sioban D.Harlow
Fertil Steril.2016 Nov;106(6):1446-1452
【文献番号】r02200(低卵巣反応、卵巣予備能、加齢、予測因子、AMH)

Ⅰ型糖尿病の有無で、血中AMH濃度を比較した。30~45歳の女性で卵巣摘出、子宮摘出、自然閉経などの既往を認めない女性で、ミシガン州で行われた骨の代謝に関わる研究に参加した376名と、もう一つの疫学調査に参加した321名を対象とした。

線形混合回帰モデルを用いてAMHが糖尿病の有無で差異があるか否かという点について各種背景となる要因で補正し調べた。I型糖尿病の女性はAMH濃度が5.0ng/dl以上のものの割合は低かったが、35歳未満の女性において糖尿病の有無でAMHの中央値に差異は認められなかった。

背景となるいろいろな要因で補正し反復測定を試みたところ、log AMH濃度はⅠ型糖尿病を有する女性においては糖尿病を有しない女性と比較し有意に低い値を示し、β係数は-1.27という結果が得られた。

参考:Ⅰ型糖尿病
Ⅰ型糖尿病を有する女性においては生殖に関わる問題を有するものが多い。このような生殖に関わる異常にはPCOS、不整月経、不妊などが含まれる。AMHは二量体の糖蛋白で卵胞からのみ産生される。従来の横断面的研究ではAMH濃度はⅠ型糖尿病を有する女性において低下すると報告されている。

関連記事

  1. ART

    IVFに用いられる胚培養液が、治療結果と新生児の出生体重に影響を及ぼすことを示した論文

    IVFに用いられる胚培養液は、治療結果と新生児の出生体重に影響を及ぼす…

  2. ART

    形態による胚選択を伴う非ドナー卵体外受精の使用は、40〜43歳の患者にとって効率的

    40~ 43歳の高齢女性においては自己の卵子を用い形態的に胚の選択をし…

  3. ART

    IVF治療後の出産を予測するための機械学習モデルの比較:全国データベースからの463,669サイクル…

    人工頭脳を利用した生児出産の予測モデルを作成したところdeep neu…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

サイト情報をキャッチ

Push7でプッシュ通知を受け取る:



FeedlyでRSS購読をする:



>> プッシュ通知やRSSについてはこちらをご覧下さい

最近の記事

記事ランキング

アーカイブ

最近チェックした記事

    最近のコメント

      1. ART

        不妊の分野におけるロボット手術と従来の腹腔鏡検査について
      2. 不妊治療

        ESHREガイドラインにおけるPOIの診断と治療について①
      3. 未分類

        自家幹細胞卵巣移植(ASCOT)により反応不良者(PR)の女性に5回の妊娠が成立…
      4. 子宮内膜症

        チョコレート嚢胞の再発と卵巣癌の相関について
      5. ART

        世界におけるARTの実施状態とその結果について調査した論文
      PAGE TOP