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粘膜下子宮筋腫を有する患者の生殖および産科転帰に対する腹腔鏡下筋腫核出術の影響

Impact of laparoscopic myomectomy on reproductive and obstetric outcomes in patients with intramural myomas

子宮筋腫は生殖年齢の女性に最もよく認められる良性腫瘍である。粘膜下筋腫は生殖能を低下させることが知られている。子宮筋腫を切除することによって生殖機能を改善させることもできる。粘膜下筋腫あるいは筋層内筋腫において腹腔鏡下子宮筋腫核出術を施行することによる有益性についてはよくわかっていない。

そこで、筋層内筋腫の摘出が生殖に関わる臨床結果の改善をもたらすか否か検討した。2012~ 2016年において腹腔鏡下子宮筋腫核出術を受けた766名の患者のうち81名が筋層内筋腫のみを有する不妊患者かあるいは筋層内子宮筋腫と漿膜下子宮筋腫のいずれも有する患者であった。粘膜下筋腫のみを有する患者あるいは不妊治療を中断した患者は対象から除外した。

生殖に関わる臨床結果と産科的合併症を分析するために後方視的に診療記録を調べた。年齢、最も大きな子宮筋腫の直径、子宮筋腫の数、摘出された子宮筋腫の重量および子宮腔の変形の状態に関するデータを収集した。また、妊娠群と非妊娠群の比較を行った。

同時期に子宮鏡下で粘膜下筋腫の切除を受けた 16名の不妊患者における妊娠率も調べた。妊娠群と非妊娠群の患者の平均年齢はそれぞれ36.3歳と38.2歳であった。

筋層内筋腫の数はそれぞれ5.6個と5.4個、最も大きな子宮筋腫の直径はそれぞれ7.5cmと6.9cm、摘出した子宮筋腫の総重量は225gと169g、子宮腔の変形はそれぞれ55.8%と48.3%で、いずれも2群間で差異は認められなかった。

腹腔鏡下子宮筋腫核出術を受けた筋層内筋腫を有する患者における妊娠率は 64.2%(52/81)で子宮鏡下で粘膜下筋腫の摘出を受けた患者における68.8%(11/16)と同様な結果であった。

52名の患者に63例の妊娠が成立したがARTで妊娠が成立したものは47周期、非ARTで妊娠が成立したものは16周期であった。腹腔鏡下子宮筋腫核出術と初回の妊娠との平均間隔は12.3か月、中央値は10.5か月であった。

流産率は36.5%、生児出産率は37.0%であった。全体として、23名の児が20名の患者において出産に至った。いずれも帝王切開が施行された。全ての分娩は 37週超まで継続した。子宮破裂あるいは胎盤の異常は認められず、生殖に関わる臨床結果および産科的臨床結果にネガティブな影響は認められなかった。

粘膜下子宮筋腫を有する患者において腹腔鏡下子宮筋腫核出術は不妊治療の成功率を高めるものと思われる。

M.Sato1, S. Hara1, F. Suyama1, W. Beck1, Y. Mukoda1, K. Sekigawa1, K. Sasaki1, H. Okubo1, H. Tajima1, H. Asada1, Y.
Yoshimura1, S. Ikuta1, R. Tokutomi1, A. Jinno1, S. Akimoto1.
1Shin-Yurigaoka General Hospital, Obstetrics and Gynecology, Kawasaki-shi, Japan.

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