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トリガーの日における血中プロゲステロンレベルによる継続妊娠率の変化について

トリガーの日における血中プロゲステロンレベルが 1.14ng/mL超の女性においては凍結融解胚移植を用いた方が新鮮胚移植を用いるよりも高い継続妊娠率が得られることが明らかとなった。
Progesterone levels but not endometrial thickness influence the effectiveness of freeze-only versus fresh embryotransfer: a prespecified subgroup analysis of a randomized clinical trial

プロゲステロンレベルや子宮内膜の厚さが凍結融解胚移植あるいは新鮮胚移植において高い継続妊娠率が得られるか否かを予測するマーカーとなるか否か検討した。

IVFによる治療の既往歴が1回以内の不妊患者を対象に無作為対照試験を行った。1群は凍結融解胚移植群391名、2群は新鮮胚移植群391名とした。

IVFはアンタゴニストプロトコールに従って調節卵巣刺激を試みた。プロゲステロンはトリガーの日に測定し、子宮内膜の厚さは採卵後3日目の時点で測定した。

血中プロゲステロンが第3四分位の1.14~1.53ng/mLである場合には継続妊娠率は凍結融解胚移植において新鮮胚移植よりも有意に高い値を示しそれぞれ 42.9%と 24.7%であった。

また、第 4四分位にある場合の継続妊娠率は凍結融解胚移植群においては 35.7%、新鮮胚移植群においては 26.9%と前者に高い傾向が認められたが統計的有意差を得るには至らなかった。

血中プロゲステロンレベルは第1四分位の 0.03~0.82ng/mLの場合においては凍結融解胚移植において継続妊娠率は低下する傾向が認められ、それぞれ33.3%と 46.6%であった。初回の胚移植後の継続妊娠率は子宮内膜の厚さのすべての四分位を通して新鮮胚移植と凍結融解胚移植で統計的差異は認められなかった。

子宮内膜の厚さが 10パーセンタイル未満の 10mm未満の女性においては凍結融解胚移植における継続妊娠率は 33.3%(10/30)で新鮮胚移植における 27.5%(11/40)を上回る傾向が認められ相対リスクは 1.21であったが統計的有意差を得るには至らなかった。

T. Vuong1, T. Pham2, V. Dang2, T. Ho2, V. Ho2, R. Norman3,4, B. Mol3,5.
1University of Medicine and Pharmacy at Ho Chi Minh City, Department of Obstetrics and Gynecology, Ho Chi Minh, Vietnam.
2My Duc Hospital, IVFMD Center, Ho Chi Minh City, Vietnam.
3Department of Medicine- University of Adelaide, The Robinson Research Institute, Adelaide, Australia.
4Fertility SA, Fertility SA, Adelaide, Australia.
5The South Australian Health and Medical Research Institute, The South Australian Health and Medical Research Institute,
Adelaide, Australia.

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