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胚の着床には子宮内膜と胚の同調が必要であることを示した論文

生存能力の高い胚であっても受容能のない子宮内膜に移植された場合には不成功に終わる。着床期ウィンドウにおいて子宮内膜が受容能を獲得し、胚の接着と妊娠成立が促される状態となる。

着床期ウィンドウはすべての患者に固定されているものでないことが明らかにされている。子宮内膜の受容能は12時間~2日間にわたって継続するのではないかと考えられている。子宮内膜の受容能は個々の患者で生理的に異なっており、未知の子宮内膜の病態がそれにかかわっている。

自然周期あるいはホルモン補充周期において同一の内膜の刺激を受けても、時に亢進し、時に遅延するが、それには患者の子宮内膜の遺伝的な要因がかかわっているのではないかと思われる。
Both slowly developing embryos and a variable pace of luteal endometrial progression may conspire to prevent normal birth inspite of a capable embryo
Jason M.Franasiak,Maria Ruiz-Alonso,Richard T.Scott,Carlos Simon
Fertil Steril.2016Apr;105(4):861-866
【文献番号】r01800 (着床、子宮内膜、サイトカイン、遺伝子、内分泌環境、薬物療法)

生存能力の高い胚であっても受容能のない子宮内膜に移植された場合には不成功に終わる

胚の着床には子宮内膜と胚の同調が必要である。

個々の分析の結果、生存能力の高い胚であっても受容能のない子宮内膜に移植された場合には不成功に終わることが明らかにされている。

子宮内膜に対するプロゲステロンの刺激が十分でない、着床期ウィンドウが生理的な状態とはずれている、また胚の胞胚腔形成が遅れている、などが関わり、胚と子宮内膜の同調性が失われることになる。

着床期ウィンドウにおいて子宮内膜が受容能を獲得し、胚の接着と妊娠成立が促される状態となる

胚にかかわるいろいろな要因を基に、胞胚腔形成のタイミングを正確に予想することが重要である。子宮内膜における遺伝子の転写の状態をもとにした子宮内膜の受容能の分子生物学的な診断が、子宮内膜の着床期ウィンドウを正確に診断するためには、従来の方法よりも優れていると思われる。

着床期ウィンドウにおいて子宮内膜が受容能を獲得し、胚の接着と妊娠成立が促される状態となる。

着床期ウィンドウはすべての患者に固定されているものでないことが明らかにされている

ERAテストを用いた子宮内膜の受容能の分子学的な診断が8,000名以上の患者において実施されているが、その結果、着床期ウィンドウはすべての患者に固定されているものでないことが明らかにされている。

70%の患者はプロゲステロン投与から5日目、LH surgeから7日目、30%は内因性あるいは外因性プロゲステロンの存在下において3~7日にわたってばらつくことがあり、自然周期においてもLH surgeから5日目から9日目に発現すると報告されている。

子宮内膜の受容能は12時間~2日間にわたって継続するのではないかと考えられている

子宮内膜の受容能は12時間~2日間にわたって継続するのではないかと考えられている。個々の患者においてタイミングを明らかにするためには転写産物を用いた診断テストが必要となってくる。

それぞれの患者の子宮内膜は一生を通じて同様な状態に保たれるが、その患者の着床期ウィンドウは他の患者とは異なったホルモンによって変化するのではないかとも思われる。

子宮内膜の受容能は個々の患者で生理的に異なっており、未知の子宮内膜の病態がそれにかかわっている

この新しい考え方は、子宮内膜の受容能は個々の患者で生理的に異なっていることになり、未知の子宮内膜の病態がそれにかかわっている可能性があり、それがいわゆる反復着床障害を引き起こすことになるのではないかと思われる。

子宮内膜が原因とされる反復着床障害は、果たして疾患と考えるべきなのか、さらに検討してみる必要がある。

自然周期あるいはホルモン補充周期において同一の内膜の刺激を受けても、時に亢進し、時に遅延する

子宮内膜が受容能を有しているとする時期を診断することが難しいのが問題である。自然周期あるいはホルモン補充周期において子宮内膜は同一の内膜の刺激を受けたとしても、時に亢進し、時に遅延するものもあり、それは患者の子宮内膜の遺伝的な要因がかかわっているのではないかと思われる。

 

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