2個以上の胚を移植するも単胎分娩に至った例において周産期の臨床結果にネガティブな影響をみるリスクは受胎時の胎児数が主に関わっていると思われます。
ARTで出産した単胎児は自然妊娠で出産した単胎児と比較し周産期の臨床結果にネガティブな影響をみるリスクは上昇すると報告されている。背景となっている不妊、卵巣刺激に伴う内分泌環境の異常、invitroにおける胚の操作および胚培養などがこれらのネガティブな周産期の臨床結果に関わる因子ではないかと考えられている。
従来の研究において複数の胚移植を試みた場合、単一胚移植と比較し単胎出産例においても早産や低出生体重児のリスクは上昇すると報告されている。しかしながら、それらの研究においては受胎時の胎児数に対しては検討されていない。今回、ART後に出産した単胎児において2個以上の胚が移植された場合、周産期の臨床結果にどのような影響をもたらすか調査した。
HFEA(Human Fertilization and Embryology Authority)から得られた匿名のデータを用いて分析した。
1991~ 2011年にかけて508,410例の新鮮胚移植と131,334例の凍結融解胚移植が行われ、その結果、単胎出産が95,779例と18,005例に認められた。
凍結融解胚移植と新鮮胚移植別に早産の割合と低出生体重児の割合にどのような差異があるか2個以上の胚移植を行った群と単一胚移植を行った群で比較した。2個以上の胚移植群と単一胚移植群において新鮮胚移植における単胎児において早産のリスクの補正オッズ比は1.14、低出生体重児に対する補正オッズ比は1.14といずれも有意な上昇が認められた。
早産のリスクに関する補正オッズ比は2.70、低出生体重児に対する補正オッズ比は2.76といずれも新鮮胚移植で当初複数の胎嚢が認められ単胎出産に至った例において高い値を示した。新鮮胚移植で複数の胚を移植した場合と単一の胚移植をした場合を比較し、いずれも当初に単一の胎嚢が認められた場合においては早産のリスクの上昇は認められずその補正オッズ比は1.08、また低出生体重児のリスクも上昇せずその補正オッズ比は1.08という結果であった。
凍結融解胚移植において2個以上の胚移植を行った群においては単一胚移植を行った群と比較し単胎出産例において早産のリスクの補正オッズ比は1.05と低出生体重児に対する補正オッズ比は0.95といずれも有意差は認められなかった。また、凍結融解胚移植において妊娠初期に複数の胎嚢が認められた群においては単一の胚移植を試みた群と比較し単胎出産例において早産のリスクの補正オッズ比は2.13、低出生体重児出産のリスクの補正オッズ比は2.61と有意な上昇が認められた。
O-070 Does transfer of multiple embryos affect perinatal outcomes of the resulting singleton live births? Analysis of 113784 singleton live births following ART
M.Kamath1, B. Antonisamy2, H. Selliah3, S. Sunkara4.
1Christian Medical College and Hospital, Reproductive Medicine, Vellore, India.
2Christian Medical College and Hospital, Department of Biostatistics, Vellore, India.
3Christian Medical College and Hospital, Department of Biostatistics, Vellore, India.
4Queen’s Hospital- Barking Havering Redbridge University Hospitals NHS Trust, Reproductive Medicine, Essex, United
Kingdom.
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